奄美大島の”厄介者”を食卓へ届けるまで
かつて雑草として刈り捨てられていたセンダン草に、食物繊維やポリフェノール、亜鉛といった栄養素が豊富に含まれていることはあまり知られていなかった。株式会社AMAMI GREEN LABELは、この奄美大島の自生植物を無農薬のまま収穫し、完全無添加のパウダーへと加工している。粉末にすることで料理や飲み物に混ぜやすく、一日約2gをお湯に溶かすだけでハーブティーとしても楽しめる。お米と一緒に炊くとほんのり緑がかった仕上がりになり、スムージーやスープへの応用もしやすい。
実際に購入した利用者からは「クセがなく牛乳やヨーグルトに混ぜて飲んでいる」「インスタグラムで見つけて試してみた」という声が寄せられている。免疫力や腸内環境への期待から手に取る人が多いようで、「奄美の自然の力で身体がどう変化するか楽しみ」という感想も目立つ。栄養バランスの偏りやストレスの蓄積を気にする層が日常に取り入れるケースが増えており、継続購入につながりやすい商品設計になっている。
耕作放棄地を資源に変える仕組み
奄美大島では高齢化が進み、使われなくなった農地が各所で放置されたままになっている。株式会社AMAMI GREEN LABELはこうした荒廃地に自生するセンダン草を無償で刈り取り、土地の景観回復と製品原料の確保を同時に進めてきた。刈り取りから加工、販売まですべてのプロセスを島内で完結させる構造を敷いており、外部に依存しない経済循環が生まれている。地元農家や研究者と連携しながら成分分析や品質管理の手法を磨き続けている点も、この事業を支える柱のひとつになっている。
個人的には、雑草だったものをスーパーフードとして再定義するという発想の転換が印象的だった。草刈り作業そのものが環境保全の役割を果たしつつ、そこから生まれた商品が経済的な価値を持つという二重構造は、単純なようでなかなか成立しにくい。福祉施設との協業や補助金の活用など、複数の仕掛けが噛み合うことで初めて回っているモデルだろう。
障がい者就労支援と手作業が生む現場の空気
センダン草の収穫から製品の仕上げまで、工程の多くは障がい者就労支援B型事業所との連携によって進められている。手作業が中心となる収穫作業は、働き手一人ひとりのペースに合わせやすく、作業スキルを段階的に身につけられる環境として機能してきた。株式会社AMAMI GREEN LABELが掲げる「ふるさとを元気にしたい」という原点は、こうした現場の日常にそのまま表れている。定着率の高さが、職場としての居心地を物語っている。
ある参加者は、地域社会の中で自分の役割を実感できるようになったと話していたという。収穫した草が商品となり、島の外にまで届いていく過程を目の当たりにすることで、仕事への意識が変わっていくケースは少なくないようだ。単に雇用の受け皿をつくるだけではなく、働く人自身が事業の一端を担っている実感を持てる設計がされている。
月イチの収穫体験が地域をつなぐ接点に
毎月開催されるセンダン草の収穫体験には、地元住民だけでなく観光客も参加している。体験後には試食会が設けられ、地元レストランとのコラボメニューが振る舞われることもある。参加者同士が顔を合わせるうちに新しいつながりが生まれ、直売所への来客増加にも波及しているという声が聞こえてくる。
代表は「安定した収入を得るよりも、もっとこの土地の人たちの笑顔が見たい」と語っており、イベント運営にもその姿勢がにじむ。観光客向けのアイデアを次々と形にしながら、補助金制度も積極的に活用して活動の幅を広げている。商品の販売額だけでは測れない、暮らしの手触りに近い成果がこの事業には積み重なっている。


